Googleが先月のはじめにAndroid OSの次期バージョンとなる「Android P」を発表し、同時にプレビュー版(開発者を対象に試験的に配布されるバージョン)の配布を開始しています。
Developersのサイトからダウンロードできます。対応端末は、Pixel、Pixel XL、Pixel 2、Pixel 2 XLの4機種。いずれも日本では未発売です。
Android Pのプレビュー版の配信スケジュールは下の画像のとおりで、最終リリースは7月の後半が計画されています。正式版のリリースは8月後半頃と予想されます。
Android Pの開発コードネームやバージョン番号はまだ発表されていません。これまでの命名規則からして「P」から始まるお菓子の名前となることは確実で、パウンドケーキ、パンケーキ、ポップコーン、ポップシクル(アイスキャンディー)などが予想されています。そしてバージョン番号はどうやら「9.0」になるようです。
Android Pの新機能についてはAndroid Developersで日本語にて詳しく解説されています。ここではいくつかの機能をピックアップして紹介します。
画面回転の仕様が変更
Android Pでは画面の自動回転をOFFにした状態は新たに「回転ロックモード」と呼ばれるようになりました。
回転ロックモードではシステムバー(ナビゲーションバー)に画面の向きを制御するボタンが新しく表示されるようになります。これをタップすることで任意の回転状態に画面をロックできます。
たとえば下の画像の例では、回転ロックモードで画面を横向きにしてもポートレート表示(縦)のままですが、システムバーの回転ボタンをタップするとランドスケープ(横)表示に切り替わります。意図しない回転を防止しつつ、より素早く希望の状態を反映させることが可能になりました。
ディスプレイの切り欠きをサポート
iPhone Xの登場に影響されてAndroid端末でも上部に切り欠きのあるディスプレイを持つものが増えてきました。これを受けてプラットフォームレベルで切り欠きディスプレイに対応します。アプリ開発者は切り欠き領域の表示を制御できます。
通知機能の改善
Android 7.0(Nougat)以降は通知から直接メッセージに返信することができますが、Android Pではさらにスマートリプライに対応し、提案された候補の中から適当な文言を選んで簡単に返信することが可能になりました。また、SMSの通知が画像表示に対応しました。
マルチカメラをサポート
2017年はメインカメラの”デュアル化”がトレンドとなりました。今年に入ってトリプルカメラを搭載したスマートフォンも発表されています。Android Pではこのようなマルチカメラをサポートしたことにより、開発者が容易にマルチカメラを使ったユニークな機能をアプリに実装できるようになりました。
HDR VP9、HEIFをサポート
Android PではHDR VP9 Profile 2とHEIFがサポートされました。特にHEIFはiOS 11でカメラの記録形式として標準化されているのでAndroidがサポートしたことの意味は大きいです。
Wi-Fi RTTをサポート
Android Pでは、IEEE 802.11mc WiFiプロトコル(Wi-Fi RTT)がサポートされました。対応端末ではアクセスポイントとの距離を測定でき、これによってGPS信号が届かない屋内でも1~2メートルの精度で端末の位置を特定できるとのことです。端末とアクセスポイントの両方がWi-Fi RTTに対応している必要があります。
このほか、Android端末上での機械学習を強化するためのNeural Networks APIが1.1にバージョンアップ、オートフィル(自動入力)機能の改善、セキュリティー機能の改善などが行われています。