スマホ・タブレット レビュー

Xperia P LT22iを何日か使ってみた感想

先日購入したソニーモバイル製Androidスマートフォン「Xperia P LT22i」について、前回は開封~外観のレビューをお届けしましたので、今回はひととおり使用してみての感想をお伝えしたいと思います。

大きさ・持ちやすさ・外観について

前回レビューの繰り返しになってしまいますが、やはり4.0インチで横幅60mmを切るサイズだと、ワンハンドでの操作が格段にしやすいということを改めて感じました。指がディスプレイの端から端までストレス無く届きます。逆にこれ以上小さくすると、ディスプレイサイズも小さくなり、文字が見づらくなったりという代償も出てきてしまいます。大きすぎず小さすぎず、バランスの良い大きさだと感じました。

アルミユニボディーの感動は今なお続いています。改めて見てみると大したことなかったということもしばしばありますが、なかなかどうして。金属の重厚感と無駄のないシンプルな形状が”モノ”として完成度を高めており、手の中で転がしているだけで嬉しくなるような、そんな強い存在感を感じます。

ディスプレイについて

フラグシップ級のXperiaスマートフォンでは定番の「クリアブラックパネル」は使われていませんが、むしろそれよりも彩度が高く、くっきり鮮やかな表示をしています。

また本機種にはソニー独自の「WhiteMagic」というディスプレイ技術が使われているのですが、その関係でディスプレイは非常に明るく、特に強い光が差し込むようなシーンには効果を発揮し、他の端末では光が反射して見えにくくなってしまうような場合でもXperia Pでは十分に文字を認識出来るだけの視認性が保たれていました。

実際に手持ちの端末を横並びにして太陽光の下で見比べてみましたが、やはりXperia Pが明らかに明るく、文字や画像が見やすいという結果となりました。また視野角もとても広く、ほかの機種では文字の読み取りが難儀な角度でも、比較的鮮明に表示されていました。

左からXperia P、Galaxy Nexus、Xperia arc、Galaxy S2、iPhone 4S。写真はうまく取れていないが、明らかにXperia Pが明るくクッキリとした表示で、見やすかった。

 

しかし明るく見やすいディスプレイですが、欠点もあります。それは、画面全体が妙に黄色味がかっていることです。これは私以外の複数のレビューにおいてもそのように伝えられていることから、恐らく個体差によるものではなく、Xperia P特有のものと考えられます。

iPhone 4S(au)と比べるとこのくらい違います。iPhone 4Sはもともと青味が強い(個体差はあるが)ので、やや強調されてしまいますが、それを考慮しても黄色味がだいぶ強いことがわかります。

単に情報収集やメールの閲覧を用途にするのならば問題はありませんが、撮った写真を確認したり、芸術作品を見るときなど、被写体の色をある程度正確に知りたい時には困ってしまうと思います。このウィークポイントは、購入を考えているのなら把握しておくべきだと思います。

操作キーについて

反応は良いです。バイブによるフィードバックも振動はやや小さめですが悪くありません。振動しないように設定することもできます。暗がりではアイコン部分が優しく発光し、良い雰囲気を出しています。

動作速度について

ST-Ericsson U8500というチップセットを採用しています。これが搭載されている端末を使うのは今回が初めてです。CPUは1.0GHz駆動のデュアルコアとなっています。

シングルコアCPUを搭載する2011年モデルのXperiaと比べて感動するような速度の向上はありませんでしたが、WEBブラウザでページを表示するときや、Googleマップでの地図の描画時など、実際に比べてみると明らかにXperia Pの方が処理が早く、確実に進化しているように感じます。またRAMサイズが倍増しているためか、動作の安定性も向上しているように感じました。

一応ベンチーマークも走らせてみました。AnTuTuではトータル5323、Quadrantでは2159という結果になりました。

AnTuTuのスコアを細かく見てみると、グラフィックス関連のスコアはSnapdragon S2搭載のXperia arcと同程度に留まりましたが、CPUとRAMのスコアは2倍以上に伸びていました。

以下スコア結果のスクリーンショットです。左がXperia P LT22i、右がXperia arc SO-01C。

 

 

一方、動作の”ヌルヌル”さについてはあまり向上しておらず、ブラウザでのスクロールや拡大・縮小はこれまでと同じで決して滑らかとは言えないですし、ホーム画面でのページ切替時の”カクッ”とする挙動も相変わらず存在していました。この辺りはOSのバージョンに依存するところもあると思うので、7月ころに実施されるというAndroid4.0.4 ICSのアップデートに期待したいと思います。

マルチタッチの同時認識数は10点でした。

システム情報・ストレージについて

 

端末情報は画像のとおりです。OSバージョンはAndroid2.3.7。

ROMの容量は16GB。そのうち本体メモリーとして約1.8GBが、内部ストレージとして約11GBが割り当てられていました。外部メモリーはサポートしていませんので、数千もの音楽や動画ファイルを持ち歩くのには適していないということになります。

デスグリップ問題について

CNET Asiaが伝えたXperia Pのデスグリップ問題ですが、私の環境でも再現できました。握り方によってアンテナ受信感度が悪化し通信ができなくなるというこの問題は、どの端末でも起こりうると言われていますが、Xperia Pはそれが顕著なようです。

試しに室内で窓から2~3mの距離のところで、端末下部を被せるように握ってみたところ、電波の感度マークが「3本」の状態から一気に「0本」の状態に変化しました。

通信速度を計測してみたところ、デスグリップを回避して握った時には平均して下り0.85Mbps程度出ていたものが、デスグリップになるように握った時には平均で下り0.3Mbpsと、確実に通信状態に影響を与えているようでした。

カメラについて

カメラについては優劣をつけられるほどの知識が無いので無評価としたいところですが、スマホのカメラとしては画質は決して悪くないのではと思います。800万画素Exmor R for Mobileが採用されています。ただし、スペック的には同じなはずのXperia arcのカメラと比べて暗所で撮影したものにかなりの違いがあり、Xperia Pの方がだいぶ暗い仕上がりとなっていました。また、フォーカスのスピードが最新機種に比べて遅いと感じました。シャッター音は消すことができます。

一応それっぽくサンプルを掲載しておきます。左からXperia P、Xperia arc、iPhone 4S、Galaxy Nexusです。

   

   

NFCについて

Xperia PにはNFCが搭載されています。ちょうど背面のカメラ付近にチップが組み込まれており、この部分に他のNFC対応端末やNFCタグなどを近づけることで近距離無線通信を行うことができます。

今回試しに、ソニーモバイルが販売するNFCを活用したアイテム「SmartTags」を購入してみました。

SmartTags

このタグひとつひとつに設定がインプットされていて、NFC対応のXperiaスマートフォンに近づけることで、インプットされている設定をXperia本体で再現することができます。設定はもちろん自由にカスタマイズできます。

上の画像では「家」として登録したタグを認識させた状態。このようにウィジェットが用意されていて、認識したタグの色と名称を表示してくれます。内容は、BluetoothをOFF、Wi-FiをON、マナーモードを解除といった感じ。

 

こちらはSmartTagsの管理画面。ここで各タグの設定内容を変更することができます。

どういうわけかGPSのON/OFFを管理する項目が見当たらず、がっかりしましたが、基本的にはタグに近づけるだけでXperiaを好みの設定内容に一発変更してくれるという手軽さがとても気に入りました。GPSのON/OFFについては端末がAndroid4.0以降になることで使えたりするのかもしれません。

その他、気になったところ

・フォントが”中華フォント”

日本向けの製品ではないので、フォントがいわゆる”中華フォント”と呼ばれるものとなっており、違和感があったり見難かったりします。rootを取ってフォントファイルを入れ替えることで改善することができるようですが、まだやっていません。Android4.0 ICSにアップデートされたときに改善されるという話もあり、そこまでは待ってみようかと思っています。

・スクリーンショットの撮影に失敗することが多々ある

本機種では従来のXperia同様に電源ボタンを長押しすることでスクリーンショットを撮ることができるようになっていますが、前画面の残像が表示されて上手く撮れないことがよくありました。

このようにスクリーンショットが上手く撮れないことが多々あった

 

・通話中の誤作動防止が働かない

通話中の誤作動防止機能が働かないという、よく分からない挙動にも見舞われました。これは標準の「電話アプリ」だけで発生し、LINEなどの他の通話アプリを使った際にはきちんと動作しました。つまり近接センサー自体はは動作しているようです。只今購入元のショップに確認中です。

総評

ワンハンドで丁度よいサイズ感に、屋外でも視認性の高いディスプレイを備えているということで、繊細な本体デザインとは裏腹に、これほど外でガシガシと使うのに適した機種も他にないのではないかと思いました。確かに外観があまりにも美しいので傷つけたくないという考えが働きますが、傷なんて気にせず使い込んだほうが、逆に格好良さも増してくるんじゃなかろうかと。

デスグリップ問題があったりディスプレイの黄色味が強かったりと少々”アク”が強い本機種ですが、ウィークポイントをよく理解した上で購入する分には、なかなか使い勝手のある良い端末なのではないかと思います。2台目3台目として持つのが現実的かもしれません。

2件のコメント

  • 「Android4.0 ICSにアップデートされたときに改善されるという話もあり」

    のソースはどこでしょう?海外で販売されているXperiaの数機種では、すでにICSが配信されていますが、フォントが変更になったという報告はないようです。とは言え、2011年端末の話なので、Xperia SのICSフォントが参考になりそうです。

    • リサーチしているうちにどこかで見かけた情報なので、ソースと呼べるようなものは残念ながらないです。すみません。Xperia SのICSフォントが参考になるとのことで、その辺り含めまた調べてみようと思います。

      ありがとうございました。