携帯各社より2019年6月に発売されたソニーの新型Androidスマートフォン「Xperia 1」について情報を収集してまとめました。
ソニーの最新・最上位スマホ「Xperia 1」
いま一番新しくて、一番高性能なソニーのスマホ。それが「Xperia 1」(エクスペリア・ワン)です。2019年のフラグシップモデル(最上位モデル)として全世界に向けて発表されました。
Xperia 1 は現在発売されているXperia XZ3の後継機です。XZ3の次はXZ4だと思われていましたが、今作より命名規則が変わり、数字だけのシンプルなシリーズ名になりました。
Xperia 1 の「1」には、「1から始まる」「1から生まれ変わる」という意味が込められています。
日本では6月14日に発売
NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクが2019年6月14日に発売しました。
ほかには、10月に第4のMNO(移動体通信事業者)としてサービスを提供する予定の楽天モバイルからも今後発売される可能性がありそうです。
価格は約10万円~
Xperia 1本体の価格は3社で異なります。
各社の公式オンラインショップで案内されている価格は以下のとおりです。
- ドコモ ・・・ 103,032円
- KDDI(au) ・・・ 112,320円
- ソフトバンク ・・・ 136,320円
3社が販売するXperia 1はモノとしては同じですが販売戦略の違いで価格に大きな違いが出ています。ただし通信サービスの内容や料金にも違いがるため、一概にどこが一番お得かということは言えません。
押さえておきたい!Xperia 1の特徴
Xperia 1 は他社のスマホとどう違うのでしょうか。特徴を分かりやすくまとめました。
黒帯なしで映画が見られるディスプレイ
Xperia 1 を語る上で絶対に外せないのがアスペクト比21:9の超縦長ディスプレイです。
もともとスマホのディスプレイは縦横16:9の比率が標準でしたが2017年を皮切りにそれまでよりも縦の比率が大きいディスプレイを採用するスマホが急激に増え、今では18:9や18.5:9といった比率が主流となっています。
Xperia 1 ではさらに縦長化が進み、21:9という、これまでに類を見ないほど縦に長い個性的なディスプレイが採用されました。
21:9は映画とほぼ同じアスペクト比なので、Xperia 1 で映画を(横画面で)再生すると上下の黒帯がほとんど表示されず、ディスプレイいっぱいにどーんと映像が表示されます。
下の画像はXperia XZ1(左)とXperia 1(右)を比較したもの。映像の迫力にこれだけの違いが出ます。
一画面内に表示できる情報量が増えるというメリットもあります。ウェブサイトやSNSの画面が見やすくなりますし、画面を上下に分割して2つのアプリを同時に使う「マルチウィンドウ機能」が使いやすくなります。
もはや反則?ゲームが超快適に
21:9に対応したいくつかのゲームでは、Xperia 1 の長いディスプレイをフルに使ってプレイすることができます。
他の機種よりもフィールドを広く表示できるので単純に迫力が増しますし、何より画面に表示できる情報量が増えることでゲームを有利に進められるのが素晴らしいですね。
今流行りのバトルロイヤルやMOBAといったジャンルのゲームは情報量が勝敗を左右すると言っても過言ではありません。本来は見えないはずの敵が見えたり、指を置いても視野が狭まらないというのは、もはや快適を通り越して攻略、ハックの領域。相手からしたら反則技を使われている気分になることでしょう。
ただし21:9比率に対応するタイトルは今のところ「フォートナイト」、「アスファルト9:Legends」、「伝説対決 -Arena of Valor-」の3つだけ。今後の拡大に期待です。
世界初の4K有機ELディスプレイ
Xperia 1 はXperia XZ3に引き続き有機EL方式のディスプレイを搭載しています。
今どきのハイエンドスマホはみな有機ELディスプレイを採用していますよね。高いコントラストと深みのある黒で奥行きが出るので映像に引き込まれるような感覚があり、また応答速度が速く残像が残りにくいので動画コンテンツやゲームに最適です。
Xperia 1のディスプレイは世界初となる4K解像度の有機ELディスプレイです。4K解像度といっても1,644×3,840と短辺側が1,644ピクセルしかなくテレビで言う4K(3,840×2,160)とはちょっと違うのですが、それでも画素密度は643ppiと、他のスマホのディスプレイよりも断然高精細です。
さらに、解像度の低い動画を4K相当の画質にアップさせたり、一般的なSDR映像をHDR相当の画質に変換する機能も組み込まれているので、多くのシーンでスマホ最高クラスの映像美を感じることができるはずです。
新しい画質設定「クリエイターモード」
Xpeira 1 には新しい画質設定として「クリエイターモード」というモードが用意されています。
このモードにすると、映像制作の現場で用いられるマスターモニター(映像を最終評価するためのモニター)とほとんど同じ表示が可能になり、制作されたコンテンツ本来の色彩やコントラスト感が忠実に再現されます。
表現が変われば同じシーンでも印象が大きく変わって見えることもあり、好きだった作品がもっと好きになるなんてこともあるかもしれません。動画サービスのNetFlixはクリエイターモードに完全に対応していて、アプリを立ち上げると自動的にクリエイターモードに切り替わって映像が再生されます。
自分がコンテンツを制作する側ならばこれほど信頼できるディスプレイを持ったスマホは他に無いはずです。実際に映画製作の現場でサブモニターとして使われるほど広い色域と階調表現が可能とされています。
スマホで初めて「瞳AF」を搭載
今回のXperiaのカメラはソニーのレンズ交換式カメラ「α」シリーズの開発チームとさらに連携を強化し、新開発の画像処理エンジン「BIONZ X for mobile」を搭載することで特にフォーカス性能が向上しています。
最大の特徴は、スマホとしては世界初となる「瞳AF」を搭載していることです。被写体の瞳に正確にピントを合わせ、その後被写体が動いても瞳を高速で追従し続けます。
プロカメラマンが人物を写すときは必ず瞳にフォーカスを合わせるそうです。撮影者にその知識やテクニックが無くてもXperia 1が自動でやってくれますから、これまで以上に印象的な撮影が可能になるはずです。
映画のような動画が撮影できる「Cinema Pro」
Xperia 1 には映画のような動画が撮影できる「Cinema Pro」というカメラアプリが、通常のカメラアプリとは別にインストールされています。
このアプリを使うと、映画と同じアスペクト比21:9、秒24コマ、10bit HEVC HLGフォーマットのHDR動画が撮影できます。
そして色相や画作りのプリセットが用意されていて、ホラーなら青みが強い「Cool」、コメディなら赤みがかった「Warm」といったように、撮りたい映像によってプリセットを選んで適用することで、簡単に雰囲気が出せるようになっています。
操作画面や画作りはソニーの映画撮影用カメラを開発しているチームが監修しているため、かなり本格的な動画撮影用アプリになっています。思い通りの撮影をするには多少のカメラ知識が必要などかなり尖ったものとなっていますが、スマホで手軽に映画さながらの高品質な撮影ができるというのは、刺さる人にはかなり魅力的に感じることだと思います。
ダイナミックバイブレーションシステムを継承
Xperia XZ2 / XZ3と続いてきたダイナミックバイブレーションシステムをXperia 1 は引き続き搭載しています。
これはコンテンツのサウンドに合わせてXperia 1 本体が振動して臨場感を演出するXperiaオリジナルの機能です。
従来モデルからの変更点
Xperia 1 が過去のXperiaとどう違うのか、スペック表から探ってみました。
動作速度がアップ
プロセッサが最新のSnapdragon 855に、メモリーはRAMが6GBに増えて、動作パフォーマンスが改善されました。
本体サイズとデザイン
超縦長ディスプレイの採用で本体は縦に伸びましたが横幅は逆にスリムに。厚さは1.7mmも薄くなりました。重さも15g減っています。これだけ変わると実際に手に持ったときの印象にもかなりの違いを感じるはず。持ちやすさはアップしたと言えますね。
見た目も変わりました。Xperia XZ2 / XZ3は背面に大きな膨らみがあって、悪く言うとずんぐりむっくりな形をしていましたが、Xperia 1 はXperia XZ1以前の薄くて平らなスタイリッシュな形状に戻りました。伝統色のパープルもカムバックして、デザインに関してはファンからの評価も上々です。
シネマ視聴に最適化されたディスプレイ
単に高画質を追求してきたこれまでのXperiaに対してXperia 1ではシネマ視聴に最適化するという舵切りによって方向性がはっきりし、結果21:9比率というユニークなディスプレイが生み出されました。これによってシネマ体験はかなり向上し、副次的にゲームプレイやマルチタスクにも大きなメリットをもたらしました。
スマホとしては初となる4K解像度の有機ELディスプレイを搭載し、技術先行で特殊なモデルであるXperia XZ2 Premiumを除けば解像度がこれまでで最高となりましたし、ブラビア譲りの新しい高画質化エンジン「X1 for mobile」も適用されて、画質が一段階強化されました。
なお、Xperia 1 の製品ページやスペックを見ると、これまでしきりにアピールされていた「トリルミナスディスプレイ」や「X-Reality」というワードが無くなっていることに気が付きます。これらは映像に関するソニーの技術なのですが、Xperia 1 ではX1 for mobileに含まれる技術として、個別では表記されないようになりました。
カメラはいきなり3眼!手ぶれ補正はハイブリッドに
これまでマルチカメラに消極的だったソニーですが、Xperia 1 でいきなりトリプルカメラを搭載してきました。
「標準」「望遠」「超広角」の3つのカメラが付いていてアイコンをワンタップするだけで切り替えられるので、遠いところを大きく写したり、風景をワイドに写したりと、思い通りの構図で素早く、かつ劣化も少なく、写真や動画が撮れるようになっています。
マルチカメラの搭載によって「ぼけ撮影」も良くなっています。主流となっている「2つのカメラを連動させてボケ味を作るタイプ」に変わったので、より自然なボケ味の写真が撮れるようになりました。
暗がりでの撮影にも強くなりました。デュアルフォトダイオード搭載でピクセルサイズを大きくしたセンサーと、F1.6の明るいレンズを採用し、さらにRAWノイズリダクションでノイズを効率よく減らせるようになったことで、Xperia XZ3と比べて暗所撮影における画質が約4倍向上したとのことです。
夜景やイルミネーションも明るくきれいに撮影できるとされているので、夜景撮影に強いと言われている他社のスマホにも引けを取らない撮影が期待できますね。
手ぶれ補正の方式も変更されています。iPhoneをはじめ多くのスマホで採用されている光学式手ぶれ補正(OIS)。これまでソニーは電子式手ぶれ補正で効果の最大化を図ってきましたが、Xperia 1 ではついに光学式が採用されました。
具体的には、標準カメラと望遠カメラの2つが光学式手ぶれ補正に対応。静止画は光学式に置き換えられ、動画は光学式+電子式のハイブリッドになりました。特に暗がりでの動画撮影で大きな効果を発揮するようです。
画像処理エンジンは「BIONZ for mobile」から「BIONZ X for mobile」に進化しました。すでに紹介したとおり、スマホとしては世界で初めて瞳AFに対応。被写体の瞳を高速でフォーカスし続けます。また、10fpsでのAF/AE追従連写が可能です。
ゲーム体験が向上
Xperia 1 ではゲーム体験を向上させる「ゲームエンハンサー」という機能が追加されています。
以前からあった「Xperiaアクション」のゲームの項目を抜き出したような機能で、ゲーム中の通知オフやメモリの開放設定などでプレイ環境を最適化できることに加えて、ゲームプレイの録画やシェア、ゲームをしながら攻略法の検索なども可能になっています。
Xperiaは他社のスマホと比べてゲームへの力の入れ具合が弱かったのですが、Xperia 1 ではその姿勢がかなり改善されたことが伺えます。
ワイヤレス充電が非対応に
Xperia XZ2、XZ3と対応してきたワイヤレス充電ですが、Xperia 1 では本体の大幅なスリム化を図るために非対応となりました。
指紋センサーが側面に復帰
Xperia XZ2、XZ3では指紋センサーが本体背面にありましたがXperia 1では側面に配置が変わりました。Xperia XZ1以前は指紋センサーが側面にあったので元通りになったとも言えます。
しかしXperia XZ1以前の指紋センサーが完全に復活したかと言うとそうではありません。以前の指紋センサーは電源ボタンを兼ねていましたが、Xperia 1の指紋センサーは電源ボタンと別個になっています。
このような仕様になった背景には特許の問題があるようです。挙動や使い勝手にどのような違いがあるのか実際に試してみる必要があると思います。
片方のスピーカーが側面に
Xperia 1 のスピーカーは前面の上のほうに1基、そして側面(ボトム)にもう1基配置されています。
これまでは両方のスピーカーが前面を向いましたが、Xperia 1のスピーカーはひとつが側面に行ってしまったので左右のバランスという面で理想的とは言えない配置になってしまいました。
一方で、Xperia 1 はシリーズで初めて立体音響技術のドルビーアトモスに対応しました(自社の疑似サラウンド技術「S-Force」はドルビーアトモスに置き換えられた)。ヘッドホン出力のほか内蔵スピーカーでもドルビーアトモス再生ができ、対応コンテンツを高い臨場感で楽しめるようになっています。
ドルビーアトモスへの対応もあって、左右両方の音がバランスよく出力されるようにかなり入念にチューニングを施したとのことですから、スピーカーの配置変更による悪影響は最小限になっているはずです。
TWS Plusに対応
そろそろ完全ワイヤレスイヤホンに乗り換えようと思っている方に朗報です。Xperia 1は、完全ワイヤレスイヤホンにおいて音切れを軽減したり電池消費を抑える効果があるQualcommの新技術「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus(TWS Plus)」に対応しています。
完全ワイヤレスイヤホン最大の問題であった音途切れがかなり改善されるようなので、特に最近のイヤホンジャックの付いてないスマホでは、TWS Plus対応は大きなメリットとなります。
TWS PlusはSnapdragon 845 / 855の新機能です。Xperia XZ2/XZ2 Premium/XZ3はSnapdragon 845を搭載しているものの、TWS Plusに対応するためのアップデートが提供されない限り使うことができません。Xperia 1 は標準で対応しています。
ちょっと気になる話題
Xperia 1 以外にも出るって話だけど?
5月16日、ソニーは「Xperia Ace」という名前の新機種を発表。同日、ドコモはこれを6月1日に発売すると発表しました。
Xperia Aceは5.0インチディスプレイを搭載したミドルスペックのコンパクトモデルで、税込みでも5万円を切る買いやすさが魅力です。
注目のカラーは?
Xperia 1 のカラーバリエーションには、ブラック、ホワイト、パープル、グレーの4色があります。
この4色の中で一番注目されているのがパープル(紫)です。ソニー製PC「VAIO」のバイオレットカラーを想起させるパープルは歴代のXperiaでたびたび採用され人気を博してきましたが、Xperia Z2を最後に姿を消してしまいます。しかし今回のXperia 1 でパープルが復活。ファンの声に応えて復活させたとのことで、往年のXperiaファンには堪らないカラーとなっています。
ただ、新しく登場したグレーも海外ではかなり注目されているようで、確かに改めてよく見てみると「落ち着いているけど攻めっけもあるセクシーな感じ」がまるで欧州車のような雰囲気を醸し出していてかなり魅力的です。
なおauはこの4色で展開しますがソフトバンクはグレーを省いた3色展開、ドコモはグレーとホワイトを省いた2色展開となります。
6.5インチって大きすぎない?
2年以上前のスマホから乗り換えようとしている場合、6.5インチというサイズは確かに大きすぎる印象を持つと思います。大画面は見やすくてありがたいけど持ち運びのことを考えると大きすぎるのも困るという意見はもっともだと思います。
ですが、実はXperia 1の本体は、横幅に限って言えば5年前のモデルから何も変わっていません。年々ディスプレイのインチ数は大きくなるものの、変わっていくのは縦の長さのみ。横は変わっていないので、持ちやすさもそれほど変わっていないんですね。
ただし縦にはかなり伸びています。それまでは140mm台が普通でしたが、縦長ディスプレイが採用されるようになって150mm台に突入。Xperia 1 では約167mmと、前作Xperia XZ3と比較して約10mmも長くなりました。ポケットやバッグにしまう時にこれまでと勝手が少し違うことに気がつくかも知れません。
そもそもXperiaってなんだっけ?
Xperia(エクスペリア)は、ソニーが開発しているスマホ・タブレットのブランド名です。
スマホ・タブレットはソニー以外にも、シャープや京セラ、サムスンなどが開発し、それぞれ独自のブランド名で展開していますが、ソニーは「Xperia」というブランド名で展開しています。
主なスマホメーカーとブランド
- ソニー ・・・ Xperia
- シャープ ・・・ AQUOS
- 京セラ ・・・ DIGNO、URBANO
- 富士通 ・・・ arrows
- サムスン ・・・ Galaxy
- ファーウェイ ・・・ HUAWEI P、HUAWEI Mate
- アップル ・・・ iPhone
まとめ終えての感想
かなりの変貌ぶりで情報を拾い上げだけでかなり苦労しました。後半は力尽きてしまい、うまくまとめることができなかったです。
プロ向けの技術や機能が取り込まれたという部分が一番の変化でしょうか。スマホが自動的にそれっぽいコンテンツを生成して提案する機能がトレンドになっている中でこうした動きは流れに逆行しているようにも見えますが、一方でユーザーのクリエイティビティを刺激し、創作することの楽しみを与えてくれるという点で、スマホの新しい存在価値を示した価値のある一台だと感じます。
私的には単に21:9の4K有機ELディスプレイで好きな映画やゲームを存分に楽しんでみたいという気持ちです。そしてなんと言ってもトリプルカメラ。光学2倍ズームは使いだしたら滅茶苦茶便利で、もうこれが無いとやっていけないレベルです。Xperiaにもやっと来たかーっ!という感じなので、実機で試してみるのが実に楽しみです。
※2019年6月14日現在の状況に合わせて内容を一部書き換えました。