ドコモは10月18日、2017-2018年の冬春モデルのひとつとして、2つのディスプレイを搭載したZTE製のAndroidスマートフォン「M Z-01K」を発表しています。発売は2018年1月以降。
価格はまだ案内されていませんが、ミドルレンジよりもやや上くらいの価格帯となるようです。
独特な2画面2つ折りスタイル
「M」には同じ大きさのディスプレイが横に2つ並べて搭載されています。2つのディスプレイの間にはヒンジがあり、山折りに折りたたむことができます。
このような独特な機構によって、通常モード、大画面モード、2画面モード、ミラーモードの4種類の表示モードに対応し、シーンに応じてモードを使い分けることができるようになっています。
「通常モード」は本体を折りたたんで1つのディスプレイだけを使うモードです。折りたたむことで通常のスマートフォンに似たサイズ感となり、片手で持って操作できます。
「大画面モード」は本体を開き、2つのディスプレイを1つの大きいディスプレイに見立てて使うモードです。5.2インチでフルHD(1,920×1,080)のディスプレイを2つ使うことで、6.75インチ(1,920×2,160ドット)の大画面で、地図や電子書籍などをワイドに表示できます。キーボードも2画面にまたがって大きく表示されます。
「2画面モード」は本体を開いて2つのディスプレイにそれぞれ違うアプリやウェブサイトを表示して使うモードです。片方の画面で動画をみながら、もう片方でSNSを使う、といった使い方ができ、マルチタスクをより実用性の高い形で実現できます。
「ミラーモード」は2つのディスプレイに同じ内容を表示して使うモードです。本体をL字に開いて机などに山なりになるようにして置けば、家族や友人と向かい合って同じ動画をみることができます。
通常モードをL字で使えば、縦置きでも横置きでも安定するスタンドスタイルで使えます。動画をみるときやカメラ撮影時に便利です。デュアルスピーカー&Dolby Atmos対応で、サウンド面でも満足できそうです。
スペック
- ディスプレイ:5.2インチFHD(1,920×1,080)液晶×2
- OS:Android 7.1 Nougat(Android 8.0 Oreoへバージョンアップ予定)
- プロセッサ:Snapdragon 821(MSM8996-pro 2.2GHz+1.6GHzクアッドコア)
- メモリ:4GBメインメモリー/64GB内蔵ストレージ
- カメラ:2,030万画素
- 最大通信速度:下り500Mbps/上り50Mbps
- 通信機能:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth4.2
- バッテリー容量:2,930mAh
- 本体サイズ/重量:約151(H)×72(W)×12.1(D)mm/約230g台
- 機能:VoLTE、生体認証(指紋)、ハイレゾ再生
プロセッサはGoogle Pixel、ZenFone ARなどでも使われていて実績のあるSnapdragon 821が採用されています。最新のモデルではなく、通信も下り500Mpbs止まりとはなりますが、十分な性能を持ち、また、いくらかコストダウンにもつながっているようです。メモリーは4GB RAM/64GB ROMと、ハイエンドモデルと比べても遜色ありません。
カメラはディスプレイ側にひとつだけ搭載されています。サブカメラはありませんが、本体の開閉によって通常の撮影も自撮りもできるようになっています。ちなみにセンサーはソニー製です。
機能はおサイフケータイやワンセグ・フルセグ、防水・防塵などはバッサリ省かれています。側面の電源ボタンには指紋センサーが内蔵されています。
本体は閉じると12.1mmの厚さになります。一般的なスマートフォンの厚さが8~9mm程度なので、分厚く感じてしまうのはいかんともしがたいところです。また230gという重さも気になります(薄手のズボンのポケットに入れておくのはちとキツイか)。
ドコモが企画。海外に売り込み
この変態スマホ「M」は、ドコモとZTEの共同開発ではあるものの、企画・立案はドコモ主導で行われています。
ドコモはMを日本だけのガラパゴススマホにするつもりはないらしく、「ドコモ発のグローバルスマホ」を謳い、海外の携帯電話会社にも売り込みを行っています。そして実際にAT&TやVodafoneで発売されることが決定しています。
今のところ米国、欧州、中国での発売が予定されていますが、さらに多くの国や地域で発売できるように現在も働きかけているとのことです。海外ではZTEの「AXON」ブランドのスマートフォンとして発売されます。
なお、海外で売れるとドコモにもいくらかロイヤリティーが入る仕組みになっているそうです。
MEDIAS Wの反省を活かして
2画面スマホというと、2013年にドコモから発売されたNECカシオ製端末「MEDIAS W」を思い出します。
この機種は結局そこまでのセールスを上げることはできませんでしたが、ドコモによれば投入が早すぎたのが失敗の原因だったようです。
当時はAndroidがマルチウィンドウを標準でサポートしておらず、2画面で使えるアプリを独自で開発する必要があったうえに、現在の端末に比べて性能も低く、2画面の良さを十分に活かせなかったそうです。
その点、現在ではAndroid 7.0でマルチウィンドウがサポートされ、多くのアプリが標準でマルチウィンドウに対応しているので開発の手間が省け、端末はより高性能になりました。液晶はさらに狭額縁になって、ディスプレイ間の隙間がわずかになったことで、2画面端末としての完成度もあがっています。
今回、大画面スマホとしてはある意味Galaxy Note8をも凌ぐ注目を浴びた「M」ですが、2画面スマホの良さや具体的な活用の仕方がしっかりとアピールできれば、目先の成果はもちろん、スマートフォンの新しいカタチとして2画面スタイルを定着させることができるかもしれません。
そうなれば、MEDIAS Wもうかばれるというものです。