富士通研究所は3月12日、スマートフォンやタブレットなどの小型電子機器に適用可能な薄型の冷却デバイスを世界ではじめて開発したと発表しました。2017年度中の実用化を目指すとしています。
スマートフォンなどのモバイル機器では、多機能化や高速化が進み、部品からの発熱が大きくなることで、機器が局所的に高温化することが問題になっているといいます。
今回開発されたのは、厚さ1mm以下の薄型のループヒートパイプです。これまでは厚さ10mm程度は必要であったループヒートパイプの蒸発器を独自の技術を用い厚さ0.6mmまで薄型化し、モバイル機器に収納可能なサイズを実現したということです。
これをCPUなどの高発熱の部品上に設置して、部品から発生する熱を機器内の比較的低温の部位へ移動させることで、機器の発熱を分散させます。ループヒートパイプを用いることで、従来の熱伝導率の高いシート素材や薄型のヒートパイプに比べて約5倍の熱量を輸送することが可能だということです。また、ポンプなどの外部動力が不要であるため、モバイル機器の消費電力を増やすこともないとしています。
ヒートパイプを採用したスマートフォンとしては、過去にNECカシオが「MEDIAS X N-06E」を発売していますが、さらに高いレベルで冷却が可能なヒートパイプを搭載したスマートフォンの登場が期待できます。
情報元:富士通